リスニングにおいて、発音を正しく聞き取るのは難しいことです。日本語の場合は(少なくとも普段意識される母音が)5つであり、子音と合わせてシステマチックに五十音が理解されていますが、英語の場合は母音の数も子音の数も桁違いになるからです。
一般的に、私たちは赤ん坊として産まれてから、1年以内に不要な音の区別をしなくなってしまうとされています。例えば日本人として育ったなら、0歳から1歳になるまでの間に、LとRを聞き分けなくなってしまうのです。一度そのように脳がプログラミングされてしまった後から改めて音を区別しようとするわけですから、これは大変なことです。
このような音の区別に取り組む上でまず大切になるのは、基本となる発音記号を覚えることです。母音も子音も、カタカナに直さずにそれがどのような音であるのか、少なくとも知識として区別できるようにしておきましょう。こうした発音記号を覚えるための書籍は無数に存在しますので、自分に合っていると感じるものをチェックしてみましょう。
英語の発音は、最初はカタカナで覚える方が分かりやすいのは確かです。しかし、いつまでもカタカナに直して発音を理解しようとすると、英語を英語のまま理解するということができなくなってしまいます。だからこそ、まずは発音記号が何を意味しているのか、どんな音を表しているのか、”そのまま”理解できるようにすることが大切です。
発音記号を覚えたら、自分が覚えている単語や語彙について発音を改めて確認してみましょう。特にカレンダーやウイルスなど、日本語でもカタカナで表現されるような英単語は大抵の場合発音が違うものですので要注意です。
単語単位での発音の理解を深めたら、次に文章としてどのように発音されるかということを意識しましょう。単語が組み合わさって文章になると、音が欠落したり繋がったりして、別の音に聞こえたりすることもあります。have toがhaftaに聞こえたり、going toがgonnaに聞こえたりもするでしょう。そういった音の変化について意識することで、文章になったときの音の変化にも対応できるようになっていきます。
このように発音を学んでいくと、スタンダードな英語の発音の理解を深めていくことができます。そうすると、スタンダードな発音を聞いたときに分かりやすいのはもちろん、例えば訛りが強い英語など、スタンダードな発音から離れた英語を聞くときにも、「どれくらいスタンダードでないか」ということを意識して聞くことができるようになるため、格段に理解が楽になることが期待されます。
以上のようなことから、まずは基本的な発音を、発音記号から学んでいくことが大切になると考えられるのです。