リーディングの勉強をするときとは、語彙の勉強をするときでもあります。ここでは、単語帳で語彙を勉強するときとリーディングで語彙を勉強するときの違いについて確認すると共に、リーディングにおける語彙の勉強方法を確認してみましょう。
単語帳で語彙を勉強するというのは、自分がまだ知らない数多くの語彙を一気に吸収するという点では効率的です。しかし、その語彙は文脈から完全に切り離されてしまっています。言葉とは、本来必ず文脈があって使われるものです。そして文脈によって、同じ言葉が全く違うものを表したり、比喩的に使われたりすることもあります。単語帳で語彙を勉強するときには、通常語彙の代表的な意味が”切り出されて”紹介されるのですが、それだけを覚えていたとしても、文脈で使われているところを確認しなければ、本当の意味でその単語が意味するところを体験することはできないのです。言わば単語や辞書に載っている言葉は、言葉の標本であり、例えば標本となった蝶が既に生きていないのと同様、その言葉は死んでいると言っても過言ではありません。
一方リーディングで単語に注目するということは、そうした文脈の中にある生きた単語を勉強するということでもあります。ここで注目するべきは、ほかにどのような単語と一緒に使われているか、それはどういったジャンルのテーマの文章であるか、ほかに類義語があるならどうしてほかの類義語ではなくその単語が選択されているのか、といったことです。
他にどのような単語と一緒に使われているかということについて確認してみると、『いつも一緒に出てくる組み合わせ』のようなものが見つかることがあります。これを一般にコロケーションと言います。つまり、相性の良い単語の組み合わせや、ある程度決まった言い回しというものが存在するのです。これを使いこなせると、自然な英語を話したり、逆に見聞きするときに先読みをしたりすることができるようになります。
どういったジャンルの文章であるかというのは、分野という意味でもチェックするべきなのですが、どれくらいフォーマルな文章かということも確認しておくと良いでしょう。「この言葉は少し堅めの文章で出てくるのだな」ということや、「これは少し若者っぽい言葉なのかな」ということが分かってくると、より適切な語彙選択ができるようになっていきます。
そして類義語との比較は、語彙を多角的知識として記憶に留める上でも重要なポイントです。例えば、『目的』というような意味を表したいとき、aimやgoal、objective、targetなどの英語がありますが、「どうしてここではgoalという言葉が使われているのだろう、ほかの単語では駄目だったのだろうか」ということを考えることで、それぞれの単語の微妙な違いを意識しつつ記憶に留めることができるようになるのです。
このように、リーディングをする上でも単語に注目すると、色々なことを学べます。英文を精読して文法的に正しく意味を解釈できるようになったら、次はその文章の単語について理解を深めることで、ひとつの英文からより多くを学ぶことができるようになるでしょう。