まねる:ライティング

学びの本質が『真似をすること』にあるという考え方は、ライティングの勉強をする上でも役立ちます。ライティングをするとき、多くの人は『どう書いて良いかわからない』と感じます。考えてみると、これは日本語でもそうではないでしょうか。例えば今いきなり『昨日の出来事を日記にして書きなさい』と言われたら、すぐに書ける人はそれほど多くないはずです。『最近興味のあることについてエッセイを書きなさい』と言われても、『自由に小説を書きなさい』と言われても、『今感じていることを詩にしなさい』と言われても、多くの人はやはり同じように困惑するでしょう。

これは、『日記』の書き方、『エッセイ』の書き方、『小説』の書き方、『詩』の書き方が分からないからです。そしてどうして書き方が分からないのかというと、そういったものに触れたことがないからです。「日記はこういう書き方をする」ということが分かっていないと、「自分のことだから”である調”で良いのだろうか、でも他の人に見せる内容なら”ですます調”?」のように困惑してしまう人も珍しくはないでしょう。

つまり必要なのは、自分が書こうとしているジャンルや、目標とする文体に近い文章をより多くインプットすることであると言えます。例えば英検のライティング問題で高得点を取りたいと思ったなら、回答例をしっかりとチェックしてみましょう。回答例の英文がどのような順序で情報を展開しているか、どういった言葉や言い回しが使われているかということを確認し、それを真似してライティングしてみるわけです。

普段からできることとしては、英語の文章を読む上で、気に入った言い回しをストックしておくと良いでしょう。例えば洋書を読んだり、ネット上の記事を読んだり、あるいはコミックを読んだりする中で、面白い言い回しや気に入った言い回しがあれば、それをノートなどに書き込んでおいて、同じような場面で使えるように意識しておきましょう。

このように普段から英文に触れるようにして、そこでどのような表現が用いられているかということを意識することで、(曖昧な言い方になりますが)英語表現の感覚のようなものが身についてきます。aとtheのどちらを使うべきかが直感的に分かるようになったり、「上手く説明できないがこの単語を今使うのは不適切な気がする」という予感が働いたりするようになります。これは、専門的な言い方をすると、”スキーマが形成される”とも言われます。

スキーマを形成するには、まず数多くのインプットを経験することです。そのインプットから得たものを模倣することから始めるのが、自分らしいライティングを実現するコツのひとつであることは間違いありません。

\ FOLLOW ME /